白黒写真のカラー化(Colorizing black and white photographs using A.I.)

 白黒写真のカラー化


 この取り組みは2017年から行っています。

 戦前から戦後にかけての写真はすべて白黒で、カラー写真に眼が慣れた私達には 凍りついた印象を受けます。そのため、戦争を自分とは関係のない過去のものだと無意識に思い込み、戦争を自分ごととして考える機会が奪われているのではないでしょうか。そこで、白黒写真をカラー化することによって、当時の風景が忠実に再現され、その様子を身近に感じ取れるようになりました。



カラー化された写真


では、白黒写真をカラー化する過程について説明します。



まず、証言収録をさせていただいた被爆者の方や女学院の卒業生の方など人脈を頼って、白黒写真を入手します



そして、スキャンした白黒写真にAIで色付けします。AIは人工物のカラー化が苦手なので この段階の色付けでは不自然さが残ります。


そのため、私達が資料をもとに不十分なところを修正します。より忠実に再現するために 写真提供者である被爆者の方に当時のお話を伺い、手作業で色を補正します。これでカラー化した写真が出来上がります。




カラー化することによって桜だと認識された写真


白黒写真をカラー化することで、白黒の時には思い出せなかったお話を被爆者から伺うことができます。実際に、上の写真の提供者である 被爆者の濵井德三さんの当時の記憶がより鮮明によみがえり、白黒写真の時はただの木として認識していたものが、カラー化していく過程で 桜だと思いだされました。

 白黒写真はカラーのメディアに慣れた若者の目には、自分たちと関わりのない 遠い過去のように映り、時の流れを切断し、悲惨な戦争などの過去の記憶を凍らせてしまいます。また写真の所有者と一緒に 写真のカラーを修正していくうちに,あらたに思い出す記憶もあります。

 これは今まで私達がカラー化してきた写真です。カラー化することで 戦争が起こった世界を身近に感じてもらい、一人でも多くの人に平和について考えるきっかけを与えることができればいいなと思います。




 また、「記憶の解凍」ARアプリも配信しています。このアプリは、AI技術を活用してカラー化した「戦前の広島」の白黒写真を,地図・ARビューに表示します。その写真が,アプリを通して,現在の広島の風景に重ね合わせることができ,私たちの眼の前には,切り撮られた過去の日々につながる,時の窓が開きます。

 


 2019年の広島女学院での文化祭では、白黒写真のカラー化の展示を行い、多くの方にお越しいただき、私たちの活動の輪が広がっていくのを感じられました。

 



 さらに、文化祭展示だけでなく広島テレビの本社でも 写真展示に協力し、その時には約3000人の方にお越しいただきました。

沢山の方に来ていただけた分、今までお聞きすることがなかった意見や、感想を多くもらうことができ、またこの企画に携わっている方々のありがたさに改めて気づかされました。

 被爆者の高齢化が進む中、私達若者がこのような最新技術を用い、被爆者の想いを発信することで、世界に共感の輪を広げていくことが出来ると思います。

We use A.I. to colorize black and white photographs of Hiroshima from before and just after the atomic bombing. We ask hibakusha and survivors about the photos and share their stories on social media. Black and white photos are regarded by many as quaint and uninteresting. However, once they were colorized and introduced on Twitter, many people showed interest, posted comments, and started communicating with each other. It became easier for them to understand that survivors led happy and affluent lives before the war and the atomic bombing - not unlike us - and that those lives were destroyed by the bomb. We happened to meet the director and some crew members of the popular animated film, Kono Sekaino Katasumini. They cooperated with us on our activities and helped more people think critically about war and nuclear weapons. Many media outlets, including the Japan Times, showed an interest in our use of A.I. and did feature stories on our project. One of our members even used the photos to make a short film, which won a prize at the United for Peace Film Festival, and was invited to the United Nations in N.Y. and Paris to make a presentation and talk with people there. So, we believe we succeeded in creating more chances to raise public awareness about this issue.

コメント

人気の投稿

活動予定